坊っちゃん物語

坊っちゃん物語



こどもの頃から
 損ばかり
弱虫と言われて
 飛び降りて
 腰を抜かしたこともある
なぜやったと
 聞くやつもいる
 それが江戸っ子 心意気

 天ぷら バッタ
 なんのその
うらなり 山嵐
 引き連れて
追い出す
 赤シャツ 野だいこ
 懲らしめりゃ
愚痴は言うまい 大暴れ

 松山 道後
 散歩にでかけりゃ
 狭い世界よ 
 マドンナさん
 ケンカ騒ぎ 新聞沙汰に
 俺にも俺の
 意地がある
 やめてもどるは いざ東京
 
 母も 親父も
 もてあまし
 愛想をつかした
 この俺を
 たった一人 可愛がり
 小さく見えた
 見送るきよ
 愛しき きよ  今いずこ


 受験生ブルース



 受験、受験 あとわずか
 少しは僕の 身になってくれ!
 わくわくしている 僕たちに
 夢を持って がんばれと言うけれど
 なかなかできない この気持ち
今の自分を支えている
 
受験、受験 あとわずか
少しは私の 身になってくれ!
がくがくしてる 私たちに
 ちょっと優しく  がんばれと言うけれど
なかなかできない この気持ち
今の自分を支えている

 受験、受験 あとわずか
少しは僕の 身になってくれ!
 どきどきしている おれたちに
 へまをすると危ないと言うけれど
わかっているよ そんなこと
 不安がらせる そのひとこと
 今の自分を支えている

ああ、受験、受験 あとわずか
 今の自分を支えている



 こころ



 あの日 海に行った 夏がまたやってくる
課外を抜け出して 君と出かけた
 わけもなく 生き方の違いで 
 君と争いになったね
そのかたくな君の横顔が今でも思い浮かぶ

 向上心のないものは バカだねと言ったね
 過ぎ去りし過去が 今でもよみがえる

君も覚えているだろうか あの夏の記憶を
誰にも言えない記憶 二人だけの記憶

 君の悩む心に 逆にあの言葉で問い詰める
なに食わぬ顔で お嬢さんとつきあった
結婚が決まっても 話すこともせず
 ふすま越しに過ごしていたね
 その落ち込んだ君の素顔が今でも思い浮かぶ


 君も覚えているだろうか あの夏の記憶を
誰にも言えない記憶 二人だけの記憶
誰にも言えない記憶 二人だけの記憶

 
君の一言が今も悲しい



 海の記憶が
 夏の嫌な思い出としてよみがえる
 思い出すと涙が止まらない
 あの時、君は私をやりこめた
 向上心のないものは
 バカだねと
あの君の言葉が今も悲しい
奥さんに話し
 わたしは悩みに悩み 君を出し抜き
あの言葉を繰り返し お嬢さんとつきあった
結婚が決まっても なく食わぬ顔で
 君と過ごしていたね

 君の心を知りつつ あの言葉を逆手に
悩みに悩み言い訳して お嬢さんとつきあった
結婚が決まっても なく食わぬ顔で
 君と過ごしていたね





かぐや姫

天車が迎えにくる君の横では
弓矢を用意している
 満月がこうこうと照らしている
 地球で見る満月はこれが最後ねと
 寂しそうに君は泣く
 竹の中から生まれた娘は遙か
 あの月の世界に戻っていった
 今時が来て君は帰ってしまった
遠くずっと君は帰ってしまった

天車が昇り始めた君の窓では
 天女をはべらしている
羽衣がひらひらと舞っている
 ここから見る日本は美しいねと
 言いたいが言葉なく
月の世界に帰った姫は永遠に
 この世のことは忘れてしまった
 今時が来て君は帰ってしまった
遠くずっと君は帰ってしまった

娘がいなくなった家では
 爺さん婆さん 月見て泣いていた
今時が来て君は帰ってしまった
遠くずっと君は帰ってしまった




ああ、風ならば




 ああ、私が、風ならば
 世界の海を渡っている
 自由にどこでも誰にも気兼ねなく
 知らない海で路に迷うこともなく
 あなたに会えるでしょう
 いつもなら たまらなく悲しいときも
 優しくあなたに会えるでしょう
 あの、船乗りのように

 ああ、私が、風ならば
 世界の大地を渡っている
 自由にどこでも誰にも気兼ねなく
知らない町で冷たくされることもなく
あなたに会えるでしょう
いつもなら たまらなく恋しいときも
優しくあなたに会えるでしょう
 あの、パイロットのように

ああ、私が、風ならば
世界の山の頂きに挑戦している
自由にどこでも誰にも気兼ねなく
知らない山で凍えることもなく
あなたに会えるでしょう
いつもなら たまらなく寂しいときも
優しくあなたに会えるでしょう
あの、登山家のように

ああ、私が、風ならば
世界をグローバルにまとめている
自由にどこでも誰にも気兼ねなく
知らない国で脅されることもなく
あなたに会えるでしょう
いつもなら たまらなく苦しいときも
優しくあなたに会えるでしょう
あの、政治家のように

ああ、私が、風ならば
 世界を本で埋め尽くしている
 自由にどこでも誰にも気兼ねなく
知らない所で束縛されることなく

あなたに会えるでしょう
いつもなら たまらなく読みたいときも
優しくあなたに会えるでしょう
あの、読書家のように





 卒業





 友とよく通ったね あの学舎に
 川縁のさくらを眺め 話したよ
女生徒の華かな この土手で
耳を澄まし聞いていた エグザイル
 あの時の歌は 歌えない
みんな別れて道をゆく 時は過ぎたよ
あの頃はすぐに会えると 思っていた
 別れの言葉  言わないで
 別れたよ 友と

 友とよく通ったね あの学舎に
 川縁のコスモス眺め 話したよ
 男子生徒の声高く この土手で
鳴り響いていた  応援歌
あの時の歌は 聞こえない
みんな別れて道をゆく 時は過ぎたよ
 あの頃はすぐに会えると 思っていた
 世話になったと  言わないで
 別れたよ 友と
 友と 友と 友と